02
Systems
Thinking
Our aim is to develop
a Systems Thinking Capacity
in Learners of All Ages
幼児向け「システム思考」教育
の普及・促進
チェンジ・メイカーの必須スキル
世界93カ国のチェンジ・メイカーのネットワークを構築している非営利団体アショカは、システミック・チェンジ(課題の根本原因を特定し、抜本的な課題解決に取り組む)を起こす人々を発掘し、その取り組みを広く世界に紹介しています。システム思考が、チェンジ・メーカーに欠かせない資質であることが分かります。
「学習する組織」論の提唱者ピーター・センゲ氏は、「人間はみんな生まれつきシステム思考家としての素養を持っている(People are all innate systems thinkers.)」と主張しています。しかし残念ながら、日本国内においては「システム思考」教育が教育現場では行われておらず、その素養が育まれる環境がありません。
そこで私たちは、2018年より日本で初めて(※)の幼児向け「システム思考」教育の普及に取り組んでいます。

(※)当財団の調査による

システム思考とは?
「システム」という言葉を聞くと、ITや理系の学問の印象を持たれる方も多いと思われますが、システム思考におけるシステムとは、相互に影響を与える関係性のことです。人や社会や物事は相互につながり合っていて、関係性の中で存在しています。この「つながり」に着目して、個別のできごとや目の前のできごとといった「氷山の一角」だけに囚われるのではなく、背景にある経緯、人の思考や感情、物理的な要素など、全体の構造に目を向ける考え方を、システム思考と呼びます。
システム思考とは?
システム思考のプロセスは、しばしば「氷山モデル」で表されます。私たちに見えるのは、氷山の海面から突き出したほんの少しだけで、大部分の残りは水中に隠れています。この目に見える部分が「できごと」です。しかし、一歩引いて見てみると、できごとは「パターン」の中で生まれていることに気づきます。この動きのパターンを生み出しているものが「システム構造」です。ルールや制度、配置などの見えやすい構造と、時系列に変化するパターンや、要素同士の繋がりや、思考、感情、行動の習慣という目に見えにくい構造があります。
システム思考者の習慣
システム構造を探る思考を学ぶ中で、子どもたちは「システム思考者の習慣」を身に付けます。自分たちが直面するさまざまな問題に対して、ただ感情的に反応するのではなく、立ち止まり、一歩下がってものごとを客観的に捉えて話し合い、解決策を生み出していく。そんな習慣を育むのがシステム思考教育です。
下図は、システム思考者の習慣を子ども向けにまとめたものです。14の問いは、主体的・対話的で深い学びの実践にも役立ちます。一人で実践するのではなく、友達や家族と一緒に考えてみると、良いアイデアを見つけやすくなります。
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システム思考教育のための
6つのツール
システム思考では物事をありのままに見て、さまざまな要素がどのようにつながっているかを視覚化し、関係者間で話し合えるようにさまざまな視覚化ツールを活用します。
ツールを使うことで、自分の思考の癖に気づくことができ、ツールを使い続けることで、思考や感覚が磨かれて新しい思考の癖を作っていくことができます。
良いツールの特徴は、そのツールを使うことによって使う人の能力を高めてくれることにありますが、まさにシステム思考のツールはそういった特徴を持っています。
システム思考教育のための6つの代表的なツールを紹介します。
  • コネクテッドサークル

  • 時系列変化パターングラフ

    幼児も実践可

  • フィードバック・ループ

  • 氷山モデル

  • ストック & フロー

    幼児も実践可

  • 推論のはしご

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CASE STUDY

実践事例

昭和女子大学附属こども園
未就学児
昭和女子大学附属昭和こども園
2018年に経済産業省「未来の教室」実証事業にて、システム思考教育を実施。2019年からはアフタヌーンレッスンとして、5才児を対象に週に1回プログラムを実施しています。絵本や現実に起きている物事、ときには子どもたちの間で起こる日常のひとこまを題材に、システム思考者としての習慣となる観点を育みます。
経済産業省「未来の教室」
小学生
オンラインレッスン
2020年より小学生向けにオンラインでシステム 思考のレッスンを実施しています。入門編・生活 編・ワールドオリエンテーション編の3つのテー マを1ヶ月ごとに展開。目の前で起きている問題 に対し、見えている出来事に感 情的に反応し対 処しようとするのではなく 、動きのパターンや、 その動きをつくりだしているシステム構造を見つけて、短期と長期の解決策を見出していく。そんな 思考の習慣を育んでいます。
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VOICE

実践者の声

対話をとおして
自己理解がなされる教育を

5年前、システム思考教育の教育理念に触れたとき、昭和女子大学附属昭和こども園が目指す教育と同じ方向を向いていると感じました。
昭和女子大学附属昭和こども園では、子どもたちがあそびや活動に夢中になる中で、いろいろなことに気づいたり、考えたりすることが大きな成長につながると考えております。また、様々な経験や体験をとおして、興味・関心や意欲を持ち、自ら選択する力を育むことを大切にしています。
昭和女子大学附属昭和こども園のアフタヌーン レッスンでシステム思考教育を実施していく中で、
子どもたちの考える力や感じる力に少しずつ変化がみられました。まさしく思考力の基礎が育まれているのだと実感しました。
レッスンでは、人は一人ひとり違う感情や考えを持っていること、話を聴くことの大切さや違う意見があって良いことを、わかりやすく、じっくりと子どもたちに伝えていただきました。
10年後、20年後の未来を見据えて、知識詰込み型の教育ではなく、対話をとおして自己理解がなされるような教育が「考える力」につながると信じています。

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北村 秀人
昭和女子大学附属 昭和こども園 園長

PARTNER

私たちの仲間

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田中 彩子
システム思考 ファシリテーター

Message

メッセージ

2022年より子ども向けシステム思考レッスンに参画しました。「より良い未来を生きるため、子どもたちに身につけてほしい力とは何か」という問いを真ん中に置き、レッスンに取り組んでいます。私たち一人ひとりを形作るのは、さまざまなできごとや経験です。次々と出合う情報に受け身で流されるのではなく、捉え方や考え方を自分で選び取ることが大切です。子どもたちがシステム思考に慣れ親しむことは、この複雑につながりあう世界の中で、自身の大切にしたいことに目を向けながらも多様な視点を取り入れ、誰もが幸せに生きる世界を創造することにつながると考えています。人と人が協働して望む未来を創り出すことに、これからも関わり、伴走し続けていきます。
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田中 彩子
システム思考 ファシリテーター
地元の広島大学教育学部を卒業後、公立小学校教諭として10年間勤務。在職中はアドラー心理学や協同学習に関心を持ち、学級経営に取り入れる。育児休業中にはコーチングを学び、母親や働く女性をコーチの立場から支援する。また、未就園児を育てる親御さんの力になりたいと願い、友人と子育て支援団体「ママの応援団どんぐり」を立ち上げ、親子向けのイベントを企画運営。現在は大学院に在籍。学級経営を中心とした組織経営や、共感力の育成について研究中。森の園に通う4歳と5歳の子どもの、探究的な活動にも伴走中。

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